ブランディングから見た空間デザインのパッケージング [空間デザインによるブランディング]

今回はブランドの視点から、空間デザインのパッケージ化について考察してみたいと思います。ここで言うデザインのパッケージ化とは、飲食店でも物販店などの多店舗展開を前提とした業態で、空間を構成する要素(素材、什器、家具、照明、サインなど)の規定を作り、全て同じ見えがかりになるようにしたデザインのこととします。

スターバックスの回でも書きましたが、デザインのパッケージ化のメリットとしては、そのブランドの提供する商品やサービスをユーザーに対して担保できると言う点があります。つまりこれは、どの店舗に行ってもこのブランドなら大丈夫、買って安心、ここまでの価値は得られる、という保証であり、またその保証をデザインによって体現しているともいえます。また、運営側のメリットとしては、デザインを管理しやすくすることで、提供価値の安定化やスケールメリットによるコスト削減といった効果もあります。

このように、デザインをパッケージ化することは、ブランドとユーザー双方にメリットがあり、飲食や物販など多くの多店舗展開ブランドで採用されていますが、あえてデメリットを上げるとすれば、全て同じデザインで店舗を増やしてくことで、目にすることも多くなり、いずれはユーザーに飽きられてしまう、という点があります。そのため、商業店舗のデザインを考える場合、初期投資の回収や、店舗の老朽化、流行の変化などを考慮し、通常5年という期間をひとつの目安にします。とくにアパレルの世界は流行がめまぐるしく変わることもあり、まだ店舗がきれいでも、改装効果を見越してリニューアルをしたりします。ただ、このようなやり方は経済が上向いている時は良いのかもしれませんが、エコやサステイナブルデザインの観点から言うとあまり合理的であるとは言えません。

また、もうひとつは景観上の問題です。これは特に国土の狭い日本において言えることですが、どこへ行っても同じ店舗があることで、その地域独自の風景が失われてしまうという点です。これは人によって感じ方はまちまちだと思いますが、最近は景観に対する意識の高まりや、景観条例の施行により、運営主体もサインの色使いなどに配慮するようになってきました。しかし、そうした表層的な部分も大事ですが、もっと本質的な部分での地域との共生ということを、ブランドデザインにおいても考える時期に来ているのではないかと思います。

空間の体験によるブランディング [空間デザインによるブランディング]

今回はブランドの情緒的価値について、空間デザインの視点からもう少し掘り下げてみます。一般的に情緒的なブランディングとは、言語に頼らずに、主体が意図する印象をターゲットに抱かせることで、独自のブランドイメージをつくっていくことを目標とします。広告やWEBであれば、フォトイメージやグラフィックデザイン、映像などに、一貫したトーンや質、動きを与えることで可能になるのは想像できますが、空間はどうでしょうか。

もちろん空間も、同じように素材や色使いで雰囲気をつくることはできます。しかし、空間がその他の媒体と大きく違うところは、それが3次元であり、ユーザーはその中で、視覚を含めた感覚的な「体験」をすることにより、印象をつくりあげているという点です。そこでは、素材や色のみならず、広さや天井高、照明の雰囲気や外光の採り入れ方など様々な要素が相互に影響し、空間の雰囲気、空気感をつくりあげています。さらにその中で、ユーザーは移動するため、視点移動での印象の変化という要素も加わってきます。

わかりやすくするために、ゴシックの教会を例にとってみます。ゴシックの教会では、高い天井による上昇性の強い空間は見るものを圧倒し、同時に天上の世界を想像させます。その視点の先にはステンドグラスによる神の世界が光となってふりそそぎ、パイプオルガンの音色と相まって、荘厳な印象を与えています。これらは全て、神への畏敬の念という感情を引き起こすために、意図的につくられたものです。少々大げさな例になってしまいましたが、空間の形態や、容積、素材、色彩、光などの操作によって、意図した印象を作り上げる、という点では共通しています。

以上のことから、空間デザインによる情緒的なブランディングとは、空間を構成するあらゆる要素の複合によって、ひとつの全体的な印象を、ユーザーの体験を通してつくり上げることだと言えます。

現在ではCG技術の向上により、ウォークスルーなどの映像で、空間を事前に仮想的に体験ができるようになりましたが、実際の空間では、人は自分の意図しないところで無意識にあらゆる感覚を働かせ、印象として感じ取っていると考えられます。仮想空間の体験の質が、実際の空間の体験の質と決定的に違うと感じるのもそのためでしょう。空間によってできるだけ正確に意図した印象を作り出すためにはやはり、人間の想像力に追うところが大きいと感じます。

ブランディングから見たファストファッション [アパレル]

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グエナエル・ニコラ率いるキュリオシティによる新しいユニクロ銀座店


ブランディングを正確に定義づけようとすると、どうしても難しい言い回しや抽象的な概念の説明になりがちですが、デザインに絞って説明するとすれば、日本のアパレル業界のブランディングが一番理解しやすいのではないでしょうか。

日本のアパレルブランドは通常、コーポレートブランドとは別に商品ブランドを持っています。大手になるとターゲット別に数十のブランドを持つ企業もあります。それらのブランドはそれぞれターゲットに合わせたブランドコンセプトを持ち、商品である衣料品をはじめとして、ブランドロゴ、広告、店舗、WEB、ショッピングバッグやカタログ、DMなど各種アプリケーションにいたるまで、全てのタッチポイントにおいてコンセプトに基づいた一貫したデザインとすることで、そのブランドにしかない独自の世界観を作っています。

こうした手法は、アパレル業界では、ブランディングという言葉が世の中に出回るずっと前から当たり前のように行われていることですが、それ以外の業界では(リテールや飲食を除いて)あまり一般的ではありません。その理由はいたって簡単で、特にファッションにおいては、見た目のデザインという情緒的な要素が、その他の要素と比較して、ユーザーの購買意欲に与える影響の割合が非常に大きいからです。

しかし不況になって、こうしたアパレル業界の典型的な手法も効果が薄れてきているように思えます。その象徴が、ユニクロやH&Mといったファストファッションと呼ばれるの台頭ではないでしょうか。もちろんこれらのブランドも、著名デザイナーやクリエイターとのコラボなど積極的なイメージ戦略を行っていますが、中心にある価値があくまで低価格や機能性にあることは明らかです。同じく好調であるしまむらにいたっては、意図的にイメージ戦略を避けているようにも見えます。(ただ、しまむらに関しては、広告や店舗にかけるコストを削減し商品の価格や品質に還元させるというやり方で業績を上げていますが、これを機会にユニクロやH&Mとは違った独自のブランディングをしてもいいのではと個人的には感じています。)

こうしてみると、不況経済下では、情緒的価値に頼ったブランディングを成果に結びつけることはなかなか難しく、ブランド全体でさまざまな戦略を考えていく必要があると思われます。空間デザインで言えば、機能的価値やユーザーベネフィットをどこまで高められるかが重要なポイントになると思います。

ブランドの視点から見た銀行の店舗デザイン [金融]

今回はブランドの視点から見た、銀行店舗の空間デザインについて書いてみたいと思います。銀行の店舗というと、統廃合による行名変更やそれに伴うサインの架け替えは思い浮かびますが、店内のデザインに関してはあまり印象にないという人がほとんどだと思います。

これは銀行の店舗としての性格が要因のひとつとしてあります。利用者にとって銀行の店舗とは、他の店舗のように積極的に利用するものではなく、役所などの公共機関のように生活する上で必要な処理を事務的にする空間であり、利用者の期待値は、空間の質などということより、できるだけ手早く用事をすませて帰りたいというところにあるからです。

ですから、銀行の店舗を考える場合はまず、機能を優先させることになりますが、そうなるとどうしてもデザインは後回しになり、結果的に事務的で印象の薄い空間となってしまいます。

しかし、そのような日本の銀行の風潮は、新生銀行の登場により一時期大きく変わりました。新生銀行のブランドの考え方は、一言で言うと「リテールバンク=小売業としての銀行」です。つまり、金融商品を扱う業種である以上、銀行はほかの小売業と同等のサービス、空間を提供してしかるべきという考え方です。

スターバックスと提携し、店舗を併設するなど銀行とは思えない新生銀行の質の高いサービスや空間は話題になり、好景気の追い風もあって、日本の銀行もこれを機に、ユーザーの立場に立った店舗空間という考え方を取り入れるようになりました。

しかし、毎回同じ展開になってきましたが、2008年の世界的な景気後退以降、新生銀行は、海外投資の損失によりあおぞら銀行との吸収合併が発表され、金融業界全体でもそのような風潮は一段落したという印象です。

どの業界でもそうですが、特に金融は今や、市場に最も影響されやすい業界となってしまった感があります。そのため、自社のブランド理念を広く展開していくという従来型のブランディングはなかなか難しい現状にあり、時流に合わせた革新的なブランドの考え方が必要な時期にさしかかっているのかもしれません。

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ブランディングとは [その他]

ブランディングという言葉が一般的になり、ともすると最近は陳腐にすらなって来ていると感じます。にもかかわらず、言葉ばかりが一人歩きして、正確に理解している人は実はあまりいないんじゃないかとも思います。自分自身も完全に自分のものにしているとは言えない気がしたので、このようなブログを立ち上げて、書いていくことで整理することにしました。

自分なりに理解しているところでは、ブランディングとは、企業やその事業および製品の理念や提供価値を明確にし、より効果的にターゲットに伝え、さらにそれを継続していくことでブランドの認知、浸透をはかり、ブランドイメージを向上させる行為だと思っています。そしてその目的は、評判やブランドロイヤルティがもたらす、市場優位性を獲得することです。この中でデザインは、より効果的にターゲットに伝える部分に深く関わることになります。ブランディングとは合目的的な一連の行為ひとつひとつであり、デザインはその中で重要な役割を担っています。

ブランドの視点からみたオフィスの空間デザイン [Office]

ブランディングから見たオフィスの空間デザインには、対外的、または内部に向けての二つのアプローチがあります。対外的な切り口としてはPRとしてのオフィスデザインで、そのブランドの特徴的な側面(ブランドパーソナリティー)を体現させたような空間とし、世間一般やステークホルダーに対し、ブランドへのポジティブな印象を与えるような空間デザインです。解りやすいところでは、Googleのオフィスなどがそうで、自由な発想のブランドらしいオフィスデザインとなっています。Googleのオフィスを見る

一方、内部にむけてのオフィスデザインは、そこで働く人のために、レイアウトや設備、見た目のデザインにさまざまな工夫を施したものです。これは、そうすることで従業員のモチベーションを向上し、結果的にその企業にとってプラスになるという考え方に基づいており、オフィスデザインによるインターナルブランディングともいえます。

空間によるブランドデザインでは、これら二つのアプローチを個々に考えるのではなく、あくまでブランドパーソナリティーをベースにしながら、各要素を具体的なアイデアやデザインに落とし込んでいくことが重要となります。

以上の視点から、日本のオフィスデザインを見てみると、2007年ぐらいまでは好景気もあって、多くの企業が自社のオフィス空間の向上に積極的で、ブランドデザインとして成功している新しいオフィスも多く見られました。しかし、景気後退以降は、ぱったりとそのような情報が入ってこなくなりました。不況による企業の設備投資の縮小の影響であることは明らかですが、このような時期だからこそ、本当に必要なオフィスデザインを考える機会であるとも言えます。

スターバックスの空間ブランディング [外食産業]

今回はスターバックスの空間デザインとブランディングについて。スターバックスvsマクドナルドのプレミアムコーヒー戦争が話題の昨今ですが、ここではひとまずスターバックスの店舗について考察してみたいと思います。前回のマクドナルドと比較すると、コーヒーチェーンであるスターバックスの空間デザインの考え方は対照的です。

マクドナルドは、ファストフードという業態から、客単価を下げ、席数と回転数を増やすという店作りをしていますが、スターバックスは客席数を抑えてゆったりとした空間をつくっています。デザインを見ると、店内のトーンは、彩度を落とした色彩や黒をベースに、天然木や磁器質タイル、アイアンなど比較的リッチな素材を使用し、照明の照度を落として、落ち着いた居心地の良い雰囲気としています。壁面には、自社のアーティストによる素朴なアートが飾られ店内を演出しています。このようなお店のつくりは、ファストフードのように価格の安さや手軽さ、便利さという価値を提供するのではなく、おいしいコーヒーをゆったりとした空間で落ち着いて楽しめる空間を提供する、というブランドの考えに基づています。

今でこそ店舗数も増えなじんだ感のあるスターバックス。日本進出当初は、その目新しさもあってずいぶん話題になりましたが、ここまで普及したのは単純に目新しさだけではなく、一貫したブランドコンセプトとマネジメントの徹底によるところが大きいと考えられます。

スターバックスのような世界規模のチェーンでは、商品やサービスの品質を維持するために、通常ガイドラインに沿った合理的なシステムを採用します。空間デザインにおいては、テナントとして入る空間の広さや形状に影響されずに一貫した雰囲気をつくるための工夫が見て取れます。例えば店内の雰囲気の決め手となるメニューボードやカウンター、家具、ペンダントなどの演出照明や物販什器は、どのお店もオリジナルで同じデザインのものを採用しています(おそらくほとんどが支給品であると思われます。それ以外にも床や壁の素材や色彩、木目の種類、そして店頭の印象を決定付けるサインなど、全てにおいてデザイン上の細かい規定があると思われます。

ところでユーザーの視点からみると、そこまで一貫したデザインとしなければいけないのか、お店によって全く違う雰囲気でもそれはそれで楽しくていいんじゃないか、という疑問がわきます。もちろんそのような考え方もありますし、店舗数が少なければ、むしろそのほうが良い場合もあると思います。しかしある程度の規模のブランドデザインでは、一貫した価値を提供することで、ブランドが品質の保証となるという考え方をします。つまり一貫性によって利用者は、どのお店にいっても一定のベネフィットを得ることが保証されます。さらにスターバックスの場合、商品やサービス、空間デザインに、他とは違うオリジナリティを出すことで独自性を強め、「あのコーヒーをあの空間で飲みたい」と思わせるような、ブランドロイヤルティを形成することを目標にしています。

しかし、スターバックスの登場以来、国内でもおいしいエスプレッソコーヒーを出す店舗が増え、メニューのオリジナリティは、進出当初より薄れた感があります。また不況により、高価格なスターバックスのコーヒーを敬遠する利用者の動向もあります。本国アメリカでは、競合ファストフードやドーナツショップが低価格のプレミアムコーヒーを投入するなど、打倒スターバックス攻勢が過熱しており、日本でもマクドナルドが、新開発のエスプレッソマシンの導入を始めるなど周囲の状況は厳しくなりつつあります。スターバックスは今、ブランドとして難しい判断を迫られています。

マクドナルドの店舗ブランディング [外食産業]

今回はブランドの視点から見たマクドナルドの店舗デザインについて。景気後退の影響により、外食産業全体の業績が落ち込んでいる中、マクドナルドが好調です。低価格のメニューや、クオーターパウンダーなどの新製品の投入、無料コーヒーキャンペーンなどメニューを中心とした戦略が功を奏していることが取り上げられますが、好業績を支える要因は、それだけではありません。

店舗のリニューアルもそのひとつです。ファストフードのお店というと、ちょっとした待ち合わせや、若い人が暇つぶしに使うお店で、薄汚れてどこか落ち着かない店内というイメージがありましたが、最近リニューアルされたマクドナルドの店舗は、きれいで良いデザインのものが増えたと感じます。デザインはどの店も異なりますが「ラウンジ」というテーマで共通しています。このテーマには、落ち着いた店内をつくるということだけではなく、30代以上のファストフードから離れてしまった世代の人たちをもう一度呼び戻すという狙いがあると思われます。コーヒーをおいしくしてを無料で提供するのも、そうした人たちにまず店舗に来てもらうことが目的で、その受け皿として店舗の質を向上させるという考えがあると思われます。

もちろん、ファストフードという業態が前提なので、あまり落ち着きすぎたり、席をゆったりさせすぎて回転数や客席数が落ちることは避けなければならないため、デザインや設備の工夫でうまくカバーすることで、快適に利用できるような店内になっています。例えば、トレンドを程よくとりいれたデザインや素材使い、間接照明やペンダントなどの照明演出、カウンターに設置されたノートPC用のコンセントなど、 細かいところを見ていくと、さまざまな工夫がされていることがわかります。オペレーション面で見ると、ハイチェアは必ず床に固定され、椅子が倒れて子供がケガをすることを防止すると同時に、掃除のしやすさなどメンテナンス性を良くしています。安全性はともかくメンテナンス性は、一見お店側の都合ともとれますが、掃除をしやすくすることで常に清潔な店内で利用してもらうということも、飲食店では重要なポイントです。また壁面に、多国籍の人物をテーマにしたスーパーグラフィックがあるお店も多く、これには、世界中の人たちに自分たちの商品を届けるというブランドメッセージがこめられていると思われます。

普段利用する時にこうしたことを意識することはほとんどありませんが、このような工夫は利用者の無意識に働きかけ、店舗の印象を決めていると考えられます。こうした積み重ねがブランドイメージとして蓄積され、ブランドの価値を決めていくということが、店舗ブランディングの考え方のひとつです。

東京モータショー2009の空間デザイン その3 [Exhibition]

前回のマツダと、良い意味で対照的だったのがホンダのブース。今回は会場の規模縮小のため2輪と合わせての展示。さまざまなメッセージが空中に浮かぶ広告的なアプローチのプランです。その中心となっているのが、ホンダが自社のDNAと呼ぶ「ないものをつくれ。」というメッセージ。
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空間デザインの明確なルールは、ブランドカラーの赤と白以外は特にありません。代わりこのメッセージが、ホンダのアイデンティティを表現しているといえます。
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ブース奥にあるメインステージも、メインテーマは「ないものをつくれ」。ホンダのものづくりに対する姿勢を、映像とリンクしたパントマイムなどをおりまぜ、演劇のような楽しいステージ演出。
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アシモ君も登場。小さくてわかりづらいですがステージ上の女性が乗っているのが、今回のコンセプトモデルである電動一輪車。アシモの姿勢制御技術を応用し、搭乗はもちろん自立、自走もする驚きのプロダクト。まさに「ないものをつくる」のメッセージを裏切らない独自の製品が紹介されていきます。その後も電動カブや往年の名車N360を思わせるEVなど、ホンダを象徴するようなプロダクトが次々と登場。「はじめにプロダクトありき」というブランドの姿勢が伝わってきます。
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環境問題や景気後退の影響で、今後自動車は、ますます家電のような身近なツールになっていくと考えられ、そのような「日常の延長線上の未来」を感じさせる演出やトーンは、AppleやGoogleに通じるものがあると感じました。
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東京モータショー2009の空間デザイン その2 [Exhibition]

今回も引き続き東京モータショー2009の空間デザインについて。前回は、ブランドアイデンティティのブースデザインへの反映について書きましたが、私から見てそれが成功していると感じた空間がマツダでした。
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数年前Zoom Zoomという軽快で印象的な音楽に乗せたCMが流れていたのを覚えている人も多いと思いますが、そのころマツダは、グローバルのブランド戦略として、ブランドシンボルをリニューアルし、新しいブランドアイデンティティを導入しました。そのブランドステートメントとなったのが、現在も使われいるこの"ZoomZoom"です。ステートメントについては現在もブランドサイトがありますので詳細は省きますが、一見、キャンペーンのキャッチコピーのような軽さを持ちながら、明解なメッセージを内包するこのステートメントに合わせ、グラフィックにブランドシンボルの背景にも使用されている、菱形を伸ばしたようなアイデンティティエレメントを導入しました。新しいブランドコンセプトが持つ心が躍るような躍動感をそのまま形にしたようなこのエレメントは、ステートメント同様、自動車メーカーのCI要素としては少々軽い印象がありますが、写真からも解るように(撮影の腕が悪くちょっと見づらいですが)空間に徹底して導入することで、ダイナミックな空間と、強い独自性を生み出しています。表現の強さと独自性は、展示会の空間デザインに必要不可欠な要素ですが、空間デザインによるブランディングには、それに加えて、ブランドコンセプトとの一貫性が重要なポイントとなります。

自動車メーカーであるマツダにとっては、何よりまずクルマが優先するのはもちろんですが、事実マツダのクルマもこの"Zoom Zoom"を感じさせるプロダクトとなっており、ブランドコンセプトをコアに、プロダクト、コミュニケーション、空間デザインに一貫したアイデンティティを与え、それらを継続的にマネージメントしていくことでマツダは、ブランディングの目的であるユーザへの企業意思の浸透と、ブランドロイヤルティの獲得を目指しており、それらはすでに達成されつつあるように思えます。すっきりとして迷いの無い明解な空間デザインからは、その自信が感じられます。

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