ブランドの視点から見た銀行の店舗デザイン [金融]

今回はブランドの視点から見た、銀行店舗の空間デザインについて書いてみたいと思います。銀行の店舗というと、統廃合による行名変更やそれに伴うサインの架け替えは思い浮かびますが、店内のデザインに関してはあまり印象にないという人がほとんどだと思います。

これは銀行の店舗としての性格が要因のひとつとしてあります。利用者にとって銀行の店舗とは、他の店舗のように積極的に利用するものではなく、役所などの公共機関のように生活する上で必要な処理を事務的にする空間であり、利用者の期待値は、空間の質などということより、できるだけ手早く用事をすませて帰りたいというところにあるからです。

ですから、銀行の店舗を考える場合はまず、機能を優先させることになりますが、そうなるとどうしてもデザインは後回しになり、結果的に事務的で印象の薄い空間となってしまいます。

しかし、そのような日本の銀行の風潮は、新生銀行の登場により一時期大きく変わりました。新生銀行のブランドの考え方は、一言で言うと「リテールバンク=小売業としての銀行」です。つまり、金融商品を扱う業種である以上、銀行はほかの小売業と同等のサービス、空間を提供してしかるべきという考え方です。

スターバックスと提携し、店舗を併設するなど銀行とは思えない新生銀行の質の高いサービスや空間は話題になり、好景気の追い風もあって、日本の銀行もこれを機に、ユーザーの立場に立った店舗空間という考え方を取り入れるようになりました。

しかし、毎回同じ展開になってきましたが、2008年の世界的な景気後退以降、新生銀行は、海外投資の損失によりあおぞら銀行との吸収合併が発表され、金融業界全体でもそのような風潮は一段落したという印象です。

どの業界でもそうですが、特に金融は今や、市場に最も影響されやすい業界となってしまった感があります。そのため、自社のブランド理念を広く展開していくという従来型のブランディングはなかなか難しい現状にあり、時流に合わせた革新的なブランドの考え方が必要な時期にさしかかっているのかもしれません。

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