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東京モーターショー2009の空間デザイン その1 [Exhibition]

空間デザインを軸に、ブランディングの視点を交えていろいろ書いていこうと思います。第一日目は先日見に行ってきた、東京モータショー2009について。
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すでに多くのメディアでも報道されているように、今年の東京モーターショーは、世界的な景気後退の影響から、例年と比較して規模が大幅に縮小し、海外の主要自動車メーカーが出展を見送るなど、近年例の無い寂しい展示会となりました。出展メーカーも、コスト削減のため展示製品を減らし、ブースデザインを簡素化するなどその影響がブースに色濃く反映されていました。
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個人的に一番その影響を感じたのはTOYOTA/LEXUSブース。前回のブースは、空間デザイナーに、業界ではすでに世界的に著名なインテリアデザイナーの吉岡徳仁さんを起用し、豪華で煌びやかな空間を実現させていましたが、今回は一気にグレードダウンした印象。
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話題のレクサスのLFAも、ステージに展示されるのみで特別な演出は無し。モーターショーではおなじみのターンテーブルもありません。
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3500万円する車にしてはあっさりした展示dと思ったら、奥のLFAアートギャラリーに原寸大のガラス製のオブジェが展示してありました。非常にお金がかかっていて美しいのですが、車の魅力が伝わってくるかというと少々疑問。
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TOYOTAブースのメインテーマはやはりエコ。HVとEVをメインとした構成です。ブースデザインは、動植物のシルエットをサブグラフィックにして自然を表現しています。展示会のブースデザインでは、出展テーマに合わせたグラフィックやステートメントを使用することが多いのですが、ブランドの視点から見るとこれらは、使い方によってはブランドのアイデンティティを弱めてしまう可能性があります。そのためTOYOTAのような大企業になると、ブランドシンボルやロゴ、ブランドカラーやトーン&マナーのような、デザイン表現をする上での規定を設けていることが多いのですが、展示会のブースデザインに細かい規定を設けることは稀で、そのデザインはそのつど起用するデザイナーや広告代理店のクリエイティブに左右されることが多く、ブランドアイデンティティに基づいたデザイン決定の仕組みは曖昧となっているのが現状です。その理由としてまず、展示会というものが時流に左右されやすい性質であることが言えます。また、日本企業の場合、広告代理店が各種メディアを一括して請け負うケースが多く、その時々のキャンペーンが出展テーマやクリエイティブに反映されやすい状況があります。もちろんマーケットを視野に入れたブース作りはビジネス上重要なことなのですが、海外、特にヨーロッパの主要な自動車メーカーのブースデザインを見ると、その時々のテーマがあったとしても、全体の表現は一貫してそのブランドらしさを体現しているメーカーがほとんどです。これは、ブランドマネージメント、特にグローバルでのブランド戦略に対するヨーロッパと日本、それぞれの企業の取り組みの差がブースデザインにも現れていると言えるでしょう。

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