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ブランディングから見たファストファッション [アパレル]

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グエナエル・ニコラ率いるキュリオシティによる新しいユニクロ銀座店


ブランディングを正確に定義づけようとすると、どうしても難しい言い回しや抽象的な概念の説明になりがちですが、デザインに絞って説明するとすれば、日本のアパレル業界のブランディングが一番理解しやすいのではないでしょうか。

日本のアパレルブランドは通常、コーポレートブランドとは別に商品ブランドを持っています。大手になるとターゲット別に数十のブランドを持つ企業もあります。それらのブランドはそれぞれターゲットに合わせたブランドコンセプトを持ち、商品である衣料品をはじめとして、ブランドロゴ、広告、店舗、WEB、ショッピングバッグやカタログ、DMなど各種アプリケーションにいたるまで、全てのタッチポイントにおいてコンセプトに基づいた一貫したデザインとすることで、そのブランドにしかない独自の世界観を作っています。

こうした手法は、アパレル業界では、ブランディングという言葉が世の中に出回るずっと前から当たり前のように行われていることですが、それ以外の業界では(リテールや飲食を除いて)あまり一般的ではありません。その理由はいたって簡単で、特にファッションにおいては、見た目のデザインという情緒的な要素が、その他の要素と比較して、ユーザーの購買意欲に与える影響の割合が非常に大きいからです。

しかし不況になって、こうしたアパレル業界の典型的な手法も効果が薄れてきているように思えます。その象徴が、ユニクロやH&Mといったファストファッションと呼ばれるの台頭ではないでしょうか。もちろんこれらのブランドも、著名デザイナーやクリエイターとのコラボなど積極的なイメージ戦略を行っていますが、中心にある価値があくまで低価格や機能性にあることは明らかです。同じく好調であるしまむらにいたっては、意図的にイメージ戦略を避けているようにも見えます。(ただ、しまむらに関しては、広告や店舗にかけるコストを削減し商品の価格や品質に還元させるというやり方で業績を上げていますが、これを機会にユニクロやH&Mとは違った独自のブランディングをしてもいいのではと個人的には感じています。)

こうしてみると、不況経済下では、情緒的価値に頼ったブランディングを成果に結びつけることはなかなか難しく、ブランド全体でさまざまな戦略を考えていく必要があると思われます。空間デザインで言えば、機能的価値やユーザーベネフィットをどこまで高められるかが重要なポイントになると思います。

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