マクドナルドの店舗ブランディング [外食産業]

今回はブランドの視点から見たマクドナルドの店舗デザインについて。景気後退の影響により、外食産業全体の業績が落ち込んでいる中、マクドナルドが好調です。低価格のメニューや、クオーターパウンダーなどの新製品の投入、無料コーヒーキャンペーンなどメニューを中心とした戦略が功を奏していることが取り上げられますが、好業績を支える要因は、それだけではありません。

店舗のリニューアルもそのひとつです。ファストフードのお店というと、ちょっとした待ち合わせや、若い人が暇つぶしに使うお店で、薄汚れてどこか落ち着かない店内というイメージがありましたが、最近リニューアルされたマクドナルドの店舗は、きれいで良いデザインのものが増えたと感じます。デザインはどの店も異なりますが「ラウンジ」というテーマで共通しています。このテーマには、落ち着いた店内をつくるということだけではなく、30代以上のファストフードから離れてしまった世代の人たちをもう一度呼び戻すという狙いがあると思われます。コーヒーをおいしくしてを無料で提供するのも、そうした人たちにまず店舗に来てもらうことが目的で、その受け皿として店舗の質を向上させるという考えがあると思われます。

もちろん、ファストフードという業態が前提なので、あまり落ち着きすぎたり、席をゆったりさせすぎて回転数や客席数が落ちることは避けなければならないため、デザインや設備の工夫でうまくカバーすることで、快適に利用できるような店内になっています。例えば、トレンドを程よくとりいれたデザインや素材使い、間接照明やペンダントなどの照明演出、カウンターに設置されたノートPC用のコンセントなど、 細かいところを見ていくと、さまざまな工夫がされていることがわかります。オペレーション面で見ると、ハイチェアは必ず床に固定され、椅子が倒れて子供がケガをすることを防止すると同時に、掃除のしやすさなどメンテナンス性を良くしています。安全性はともかくメンテナンス性は、一見お店側の都合ともとれますが、掃除をしやすくすることで常に清潔な店内で利用してもらうということも、飲食店では重要なポイントです。また壁面に、多国籍の人物をテーマにしたスーパーグラフィックがあるお店も多く、これには、世界中の人たちに自分たちの商品を届けるというブランドメッセージがこめられていると思われます。

普段利用する時にこうしたことを意識することはほとんどありませんが、このような工夫は利用者の無意識に働きかけ、店舗の印象を決めていると考えられます。こうした積み重ねがブランドイメージとして蓄積され、ブランドの価値を決めていくということが、店舗ブランディングの考え方のひとつです。
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