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IFFT2009に行ってきました その3  [デザイン一般]

いちおう空間デザインのブログなので、気になったデザインのブースを。こちら、資材置き場ではありません。ノルウェーのstokkeaustadというデザイン会社のブース。
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コストの都合か、職人さんを入れられなかったのでしょうか、だったら梱包したまま置いてしまえという逆転の発想。コードリールが無造作に置かれてたり、手動フォークリフトに段ボールがそのまま乗ってたりしますが、もちろん演出。製品カタログは新聞紙のように大きく、紙管のケースに入れて持ち帰ってもらうというアイデア。クールです。しかし持ちづらいです。全てがよく考えられていて個人的にはベスト1ブースでしたが、いかんせん地味なためほとんどの来場者がスルー。もったいないなぁ。R0012211.JPG

何やら平べったい箱が浮いてます。
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箱の下には、頭が入るくらいの穴が。もぐらたたきのもぐらのように穴から顔を出すと、こんな世界が広がっています。
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国内外で活躍するデザイナー佐藤オオキさん率いるNENDOのブース。
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スタジオ用のライトを、商品を照らすスポット兼ブース造作として流用しています。面白いアイデアです。肝心の商品はあまり目立ってなかったですが、空間デザインも含めて作品ということでしょう。裏はこんな感じになってます。
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DMによる招待客が多いとはいえ、出展社数も商品も多いこの手の展示会でバイヤーやプレスの目に止めてもらうには、まずはブースデザインで目を引き入ってみたいと思わせることが重要です。その上で製品がより良く見えるような展示の工夫が必要でしょう。ところで、写真撮影禁止のブースがいくつかありましたが、このようにブログで紹介されたりすることも想定したら自由に撮影してもらったほうが良いのでは・・・まあ、あまりこのブログはPRになっていませんが。



IFFT2009に行ってきました その2 [デザイン一般]

前回に引き続きIFFTのレポート。個人的に今回は家具よりも細かいプロダクトのほうに関心がありました。こちらは、果物の緩衝材として使用されているネットを流用した容器。地味です。しかし、こういう日常の目線からの発想が好きだったりします。
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ハーズ実験デザインの一見デザイン家具のような脚立です。こんな地味なモノをデザインしよう、という心意気が好きです。個人的にはアルミアルマイトのバリエーションがあっても良いのではと思いました。
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建築家、黒川雅之さんがプロデュースするプロダクトのつまみシリーズです。引き出しなんかにつけるやつです。黒川さんのプロダクトはGOMシリーズが有名ですが、こちらはシリコン製。滑りにくい素材だからこそ可能なシンプルなデザイン。
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同じく黒川さんの、生コルクを表面に貼付けた小物入れ。私たちが普段目にするコルクは、チップ状に砕いて成形したものですが、これはそのままのコルクを表面に貼っていて安っぽさが無く、温かい独自の風合いがいい感じ。ちなみにコルクはコルク樫という木の樹皮で、水をほとんど通さない性質からワインの栓に使われるのだそう。そういえば昔、ビールやサイダーの王冠の裏にコルクが貼ってあったのを思い出しました。歳がばれる・・・
>>その3へ続く
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IFFT2009に行ってきました その1 [デザイン一般]

国際展示場で本日から開催されている、IFFT2009(インテリアライフスタイルリビング)に行ってきました。
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IFFTはインテリア関係のバイヤーやマーチャンダイザーを主なターゲットとした見本市。家具、テーブルウェア、雑貨、テキスタイルなど、国内外から多数のインテリア関連メーカーが出展しています。その中で気になったものをいくつか。これはCONDE HOUSE(カンディハウス)という旭川にある家具メーカーの新製品。カラフルな木製のスタッキングチェアです。写真ではわかりませんが、木目がはっきりと浮き出ていて色もきれいでした。
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こちらはモダンな桐のチェスト。伝統的な素材もデザインを変えるとずいぶん印象が変わります。
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こんな風に開きます。
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家具以外もいろいろな製品がありました。これは伝統工芸である籐細工の手提げバッグ。鞄代わりに使われている紙袋からヒントを得たそうです。これも写真では伝わりにくいですが、形が非常にきれいでした。ここ数年のインテリア業界のトレンドとして、このような日本の伝統工芸や地場産業の製品を、今のライフスタイルにあわせたデザインで甦らせるという動きがあります。国産の良い製品を紹介したり、ジャパンブランドとして国内外に発信することで、中小企業や伝統産業を活性化していこうという試みです。
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こちらはプロダクトデザイナーの川崎和男さんのデザインによる杖。高齢者におしゃれをしてもらいたいと言う思いから、樫や黒檀といった国産の高級木材を使用し、とても美しく仕上げられています。ちなみに黒檀で8万円だそう。盗難が少々心配。
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独自な形状をした柄はとても握りやすくできています。杖の先端には特殊な形状のゴムがついており、滑りにくい工夫がされています。柄の部分には有田焼の装飾があしらわれていますが、この良さを本当に理解するにはまだ自分は若いのかもしれません。ともかく、高齢化社会で、デザインができることはまだまだたくさんありそうだなと思わせる製品でした。
>>その2へ続く

Appleにみる「欲求」のデザイン [デザイン一般]

今回はブランドから少しはなれて、Appleのものづくりについて書いて見たいと思います。周知のようにAppleはさまざまな革新的なプロダクトを世に送り出して、私たちを驚かせているブランドですが、なぜここまでAppleはユーザーに支持されるのか。その理由のひとつは、「欲求」のデザインにあると思います。

ここで言う「欲求」とは、何かをしたい、と思うきっかけとなる心の状態とします。わかりやすく言うとドラえもんの歌の「あんなこといいな、できたらいいな」という心理状態です。Appleのプロダクトは、まさにこの部分にぴったりとはまるプロダクトを、戦略的に生み出しているのではないかと思います。

景気の良い時には、人々は「欲望」する対象を求めます。「欲望」が、今さしあたって必要は無いが、目の前に出されることによって喚起される「ああ、これいいかも」「欲しい」といった感情だとすれば、「欲求」とはもっと日常的で、私たちの心の中にすでにあり、しかし今は無い「何か」を求める気持ち、ではないでしょうか。

例えば携帯電話で通信をしている時、「パソコンのようにインターネットが見られればいいな」と思うのは自然な欲求で、それにぴったりはまるのがiPhoneです。さらにインターネットを見たら、「もっとマウスを使うように自然に見られたらいいな」と思い、iPhoneのインターフェースはそれに答えます。Appleはそのために最新のハードウェアの技術と、高度なプログラミングによるインターフェースを惜しげもなく投入します。私たちはその技術にはじめは驚いても、すぐに慣れてあたりまえのように使いこなすようになります。また、Appleのプロダクトのスタイリングを見てみると、無駄な装飾を極力省くことでどんな環境にも違和感無くスッと馴染むデザインになっています。一言で言うとシンプルなデザインです。しかし、工業製品の生産の知識が少しでもあれば、そのシンプルさの実現のために、過剰とも言える努力を費やしていることを理解するのは難しくないでしょう。そしてそれらを決してユーザーに感じさせることはありません。

このようなプロダクトは、マーケティングをベースとした従来の商品開発の手法からは産まれ得ないものです。Appleのものづくりには、流行や年齢、性別、国籍を超えた、もっと本質的な、「こんなのあったらいいね」という、極めてシンプルで自然なユーザーの欲求に応えるという視点が、商品開発の初期段階から導入されているのはほぼ間違いないと思います。だからこそAppleの製品は多くのユーザーの支持を集めているのではないでしょうか。
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